戸籍をつけて提出してください、とかよく聞くけれど、「戸籍」って?
先日、友人と話しているときに私が「戸籍を取らないといけなくって」と言ったことに対して、「ちょっと聞いていい?、戸籍って本籍のことだよね?」と聞かれました。
確かに、私は仕事柄「戸籍」を見ることが多いけれど、一般的には普段なじみのあるものではないのが事実。
目次
そもそも「戸籍」って何でしょう?ということで第1回目のテーマに選んでみました。
“「戸籍」とは、人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録公証するもので,日本国民について編製され,日本国籍をも公証する唯一の制度です。(法務省HPより)”
難しそうに聞こえますが、要は生れてから亡くなるまでの家族や親戚との関係がわかり、自分の身分が明らかになり、日本に国籍があるよ、ということがわかる文書です。現在では、家族単位で構成されており最大でも2世代の記録が載っています。つまり親と子供です。ここに祖父母が入ることはありません。
この戸籍の所在地を表すのが、「本籍」です。
ちょっとややこしいですね、普段は「戸籍」と「本籍」は同じような意味で使うことが多いと思いますが、厳密にいうと「戸籍」は家族関係の記録で、「本籍」は場所のことです。なので「戸籍」が必要になると、それが置いてある場所(本籍地)の市町村に請求して取得します。
余談ですが、本籍というのは自分の好きなところに定めることができます。今住んでいるところでもいいですし、気に入っている場所とかでも大丈夫です。皇居や東京タワー、甲子園球場などはたくさんの方が本籍地にされています。
戸籍謄本?戸籍抄本?
「戸籍」と普段は言いますが、必要書類と書かれているような場合、「戸籍謄本」とか「戸籍抄本」、「戸籍全部事項証明書」、「戸籍個人事項証明書」などと書かれている場合があります。この違いはいったい何でしょうか。
まず「戸籍謄本」と「戸籍全部事項証明書」は同じです。そして「戸籍抄本」と「戸籍個人事項証明書」は同じものです。
昔、紙で戸籍を管理していた時に使っていた呼び名が「戸籍謄本」と「戸籍抄本」です。
H16年以降順次コンピューター化されて、今の形になったものが「戸籍全部事項証明書」と「戸籍個人事項証明書」です。
では、「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」と「戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)」の違いは何でしょうか。
「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」には、家族全部(戸籍に載っている人全部)の情報が記載されています。
それに対し、必要な人のものだけ記載されているのが「戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)」です。
何に誰のものが必要か、不要なものは取らないようにしたいですね。
戸籍の種類
戸籍には、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)、除籍謄本、原戸籍の3種類のものがあります。
除籍謄本や原戸籍、ほとんど普段耳にしない名前ですよね。
この2つは人が亡くなった時等に必要になるものです。
戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)は、今現在動いている戸籍です。この先家族に変更があれば書き加えられていきます。
除籍謄本は、元は戸籍謄本だったものです。中に記載されている人が全員出てしまったり、亡くなっていなくなった場合に名称が「除籍謄本」に変わります。
原戸籍も元は戸籍謄本だったものです。法改正などで戸籍の様式等の変更のため、
新しく戸籍を作り替える時に、新しい様式で作ったものを戸籍謄本として運用、古い様式のものを原戸籍として役所で保管します。
戸籍に記載されていること
戸籍の記載事項は、戸籍法と戸籍法施行規則で決められています。
戸籍法第13条
戸籍には、本籍の外、戸籍内の各人について、左の事項を記載しなければならない。
一 氏名
二 出生の年月日
三 戸籍に入つた原因及び年月日
四 実父母の氏名及び実父母との続柄
五 養子であるときは、養親の氏名及び養親との続柄
六 夫婦については、夫又は妻である旨
七 他の戸籍から入つた者については、その戸籍の表示
八 その他法務省令で定める事項
戸籍法施行規則第30条
戸籍法第13条第8号の事項は、次に掲げるものとする。
一 戸籍法第13条第1号から第7号までに掲げる事項のほか、身分に関する事項
二 届出又は申請の受附の年月日並びに事件の本人でない者が届出又は申請をした場合には、届出人又は申請人の資格及び氏名(父又は母が届出人又は申請人であるときは、氏名を除く。)
三 報告の受附の年月日及び報告者の職名
四 請求、嘱託又は証書若しくは航海日誌の謄本の受附の年月日
五 他の市町村長又は官庁からその受理した届書、申請書その他の書類の送付を受けた場合には、その受附の年月日及びその書類を受理した者の職名
六 戸籍の記載を命ずる裁判確定の年月日
色々書かれていますが、注意していただきたいのは、戸籍に現在の所在地は書かれていないということです。ちょっと意外な気もしますが、戸籍から現住所の確認はできません。
もし住所が知りたい場合は、「戸籍の附票」というものを取ってみてください。住所の遍歴が確認できます。
戸籍はどんなときに必要なの?
では、どんなときに戸籍が必要になるのでしょうか。
・パスポートの申請をするとき
・保険金を請求するとき
・婚姻届を出すとき
・公正証書遺言を作るとき
・相続手続きを行なうとき
・年金の請求をするとき
などです。他にも必要なケースは意外に多いものです。
国家試験に受かって、免許を取ろうとするような場合にも必要となってきます。
戸籍を取る方法
では、戸籍はどのようにすれば取得できるのでしょうか。
▶どこで取れる?
⇒戸籍のある市町村役場に申請して取得します。
▶どうやって?
⇒本人が直接窓口に出向く
これが一番簡単な方法かもしれません。役所に備え付けの請求用紙に必要事項
を記入し、押印。本人確認書類を提示すればOKです。
⇒マイナンバーカードで取得
直接行くより簡単、なおかつ安い。
もしマイナンバーカードをお持ちならこの方法が一番簡単で、手数料も直接出向くより100円安く取得できます。取扱はコンビニだけでなく専用の端末がある場所なら遅い時間まで利用できとても便利です。
※下記にコンビニでの取得方法のリンクを貼っておきます。参考にしてください。
⇒郵送でも取得できます
マイナンバーカードも持っていないし、窓口が開いている時間に役所に行けない場合、所定の用紙に必要事項を書き、本人確認書類のコピー、返信用封筒(切手を貼る)、手数料分の小為替を同封し請求。
このやり方は時間も費用も余分にかかります。小為替は郵便局でしか買えませんし、1枚の小為替に対し100円の手数料が必要です
(例えば300円の小為替を買う場合、+100円で400円必要になります)。
しかし本籍地が遠かったりする場合には便利です。
この他代理人からの請求もできます。この場合は委任状や代理人の本人確認書類も必要となります。
さて第1回目のテーマ「戸籍」について書いてきました。身近なようであまり詳しく知らない、という方が多いと思います。少しお役に立てましたでしょうか。
また身近なテーマを探してお役立ちを増やしていきたいと思います。では次回まで。